【未公開】ノーピープル・エニウェア・マッチ 2023.9月CPE新木場大会開場前に行われた非公開試合 ※佐野直＆酒井博生 vs m@rica ＆ リリー・ザ・ストリングス

新木場のリングがまだ観客を迎える前の静寂に包まれていた頃、わずかな関係者のみが見守る中で行われたノーピープル・エニウェア・マッチ。観客の歓声も照明のきらめきもない空間に、汗と呼吸音だけが響く異様な緊張感が漂う。マットの軋み、衣擦れ、そして押し倒す音がこの作品の主旋律であり、演出を排した生々しい戦いがそのまま映像へと定着している。試合形式でありながらも、肉体のぶつかり合いと性的緊張が交錯するCPE独自の狂気的リアリズムが潜む。

リング上に立つのは、鍛え上げられた男レスラー2人と、しなやかで挑発的な女性デュオ。m@ricaは挑戦的な眼差しを見せるアスリート型の女性で、リリー・ザ・ストリングスは色白で豊かな胸元が印象的な妖艶タイプ。コスチュームはそれぞれの戦闘スタイルを際立たせ、フィジカルの差がむしろ緊張感を引き上げている。レビューでも「がたいのいい男レスラー」との対比が多く言及されており、支配と服従の構図が視覚的にも明確。特にリリーの柔らかな表情と激しい反応が、格闘を超えたキャットファイト的艶感を演出する。

試合は、押し倒し、絡み合い、そして胸への接触が中心に展開される。レビューでは多くがリリーのリアクションを「色っぽくて最高」と評しており、男レスラーの粗い手つきに対して身体が小刻みに反応する描写が際立つ。吸われる瞬間の声や呼吸の乱れ、羞恥と興奮が入り混じる表情がこの作品の核心だ。視聴者の中には「カメラが追い切れていない」と惜しむ声もあるが、それでもなお音と動きが生々しく想像を刺激する。強い支配と抗う仕草、その狭間に宿るエロスが作品全体を緊縛している。

シリーズを手がけるCPEは、ストリップレスリングとパフォーマンスの中間を巧みに狙うレーベルであり、今回の公開もその象徴的な一作。観客のいない中で行われた未公開試合という設定は、 voyeuristic な背徳感をより濃くする。レンズが捕らえきれなかった部分までも想像させる構成は、感覚的フェチ表現の一種と言える。息づかい、肉体音、羞恥の瞬間。CPE特有の“見えない部分が最もエロティック”という編集哲学が、他のキャットファイト作品とは一線を画している。